まばたきの隙に

数行に、そのままに、

sideB

泡沫の幸と永久の過ち 《10・笑ってくれよ》 

《十・笑ってくれよ》 sideB あの日もいつも通り仕事をしてた。繁忙期に入っててただただ忙しくて疲れてたんだ。終わった頃には判断力が少し鈍るくらいに。言い訳だけどさ。あの頃、燃える熱はいつまでも冷めない程感じてた。バカ騒ぎするおまえを横目に復讐…

泡沫の幸と永久の過ち 《8・始まり》 

《八・始まり》 sideB 妹が自主退学した理由は子どもを堕ろしたことで学校に行けなくなったからだ。いや、「堕ろす」なんて馬鹿な言葉だ。「人口妊娠中絶」だ。簡単に言うんだ「堕ろす」って。あいつらは。妹はもうとっくに立ちなおってるよ。でも俺は許せな…

泡沫の幸と永久の過ち 《6・変わらぬ日々だった》 

《六・変わらぬ日々だった》 sideB 随分うまくやってるつもりだった。俺ってもしかして俳優とか向いてたんじゃないかって思うくらいに。いや、でも役になりきって元に戻るのを忘れちゃうような俳優はちょっと迷惑か。おもえとの出会いは自分でもびっくりする…

泡沫の幸と永久の過ち 《4・忘れぬ日々》 

《四・忘れぬ日々》 sideB 俺と妹は年が2つ離れている。まぁ仲は良いよ。たまに漫画の感想言い合ったり。そのくらい。おとなしいけど友達も結構いたと思う、そんな高校1年のある時急に部屋から出てこなくなった。父は何か知っている様で、妹はそのまま高校…

泡沫の幸と永久の過ち 《2・それは今を 2分の2》 

《二・それは今を 2分の2》 sideB 俺はおまえのことなんか大嫌いだったよ。もともとどうしたって相容れないタイプだって思うだろ。俺は陰キャってほどじゃないけど目立つタイプじゃなかったし、おまえは目立つうるさいギャルだった。頭の悪そうなヤツだって…

泡沫の幸と永久の過ち 《2・それは今を 2分の1》 

《二・それは今を 2分の1》 sideB ―「サイアクな日々」だったよ。本当に。もう俺は何が何だか分からなかった。女に振り回される血が俺にも流れてるんだろうな。いや、俺が優柔不断なだけか。俺は途中で熱が収まっていくのを必死で知らないふりして薪をくべ…