まばたきの隙に

数行に、そのままに、

瑠璃色の日々 《2・母》

二・《母》

母は複雑な家庭と複雑な進路で紆余曲折を経つつも良い会社に勤め、惜しみながらも結婚を機に退職。長女の私が生まれるときには旦那が生死の境を彷徨う大きな事故に遭い、一人でも育てていくと心に決めた。大きな病院の様々な治療で生き延び仕事に戻った父だが三女が生まれ数年たったころにパチンコで借金を重ね蒸発…しかけたが、ある時港で見つかった。おかしな話だ。(「生死の境を彷徨って生まれ変わったかのように素晴らしい人になった」なんて話を聞くが父は別段代わらなかったのだろうか。)情けない父の姿を見せまいとする親戚を覚えている。だからだろうか、両親は好きだがどちらかと言われたら母かも知れない。それにためになると感じる話もほとんどが母からだった。マナーや歴史、ちょっとした雑学なんかも含め父にはないものをもっていて、それは大きくなるにつれて強く感じるようになってきている。(誤解されることがあるが私は両親が好きだ。)