まばたきの隙に

数行に、そのままに、

瑠璃色の日々 《10・母とのあの会話》

十・《母とのあの会話》

 

 「晶穂(あきほ)の穂は秋に生まれたから。次女は春に生まれたから春に関係する漢字。でも三女は夏生まれじゃないけど夏に関係する漢字をいれたのはどうして?」なんて、昔から気づいてはいたけどそこまで気にとめていなかったことを。なんとなしに。母は「次女生んでから、なんとなく4人産んで四季の名前にしようかなって思ったのよ。」って笑ってた。「4人姉妹だったら細雪みたいだね。」なんて私も笑って、ぼんやりと考えてた。生まれていたかもしれない子どもの存在を。抱えた時の温もりを。きっと私たち家族はその子をすごく愛しただろう。