まばたきの隙に

数行に、そのままに、

私はだれでしょう 1/5

ヒント1

 

わたしはあなたをずっと待っています。

あなただけをずぅっと。

見守っています。

ご飯を食べているときも、ポストを覗いているときも、

手を繋いでいるときも、グラスを割ってしまったときも。

一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に驚いているんですよ。

知らなかったでしょう。

 

瑠璃色の日々 《13・瑠璃色の日々》 完結

十三・《瑠璃色の日々》

 

 ストレスという名の心地良くない経験ばかりがたまっているように感じられる日々だが、本当はそんなことはないのだろう。この間は金曜ロードショーを見て笑って、母とチューハイを飲んだ。うん、文字にすると更に充実して見えるものだ。その前は友人とリモート飲み会もやってみたし、好きな歌手のDVDをワクワク開封もした。幸せも積み重なっているのだ。もちろんなにもない一人の休日だってほしいが、私は必ずしもそんな時間がないとやっていけないタイプではないからこれは順番をつけるなら随分後半にくる。ありきたりな日々でないことを願いながらも、大きく変わらぬ日々に自分にもバレないように安堵している常。もし挑戦できるものを見つけたならしていきたい。出来るうちに積極的に。その上で今の不満ばかり数えてしまうような日々も後に振り返ると「あの頃は良かった」思ってしまう程度なのを知っている。でもそんなこと思いたくはないから、自然な日々に美しい色をいつだって見出していきたい。       

                                  春海 晶穂

                                                    

瑠璃色の日々 《12・そんな生活のなかで》

十二・《そんな生活のなかで》

 

 本や映画、音楽、絵画(絵本でも歴史でもミステリーでも洋物でもpopsでも、なんでも)質の良し悪しで選ぶのが良いか悪いかは分からないが、なんでも見てみるのは良い事だと思う。すべての情報を鵜呑みにはできないが知識が増えるし、感情も動く。感受性が豊かな人は魅力的だと思うしなにより優しい気がする。

瑠璃色の日々 《11・その後》

十一・《その後》

 

 私の知っているある家族の話し。美人なお母さんがいて。同じくセンスの良さそうなお父さんと面倒見の良いお兄ちゃん、そしてお兄ちゃんと10ほど年の離れた活発な弟。「(弟)最近甘えん坊ですね。」と微笑ましい様子を話していたら「実は今度もう一人生まれるんです。予定じゃなかったから私たちが一番びっくりしてるんだけど。」と幸せそうに笑う。そして十月十日。可愛い可愛い男の子が生まれた。もうすぐ2歳になるその子は、親でない私から見ても本当に愛しくて可愛くって仕方がない。「予定通り」のこの子のいない世界を想像すると、あまりにも物足りないというか、まさしくポッカリ穴が開いたような気持ちになる。そしてまた母とのあの会話を思い出すのだ。

瑠璃色の日々 《10・母とのあの会話》

十・《母とのあの会話》

 

 「晶穂(あきほ)の穂は秋に生まれたから。次女は春に生まれたから春に関係する漢字。でも三女は夏生まれじゃないけど夏に関係する漢字をいれたのはどうして?」なんて、昔から気づいてはいたけどそこまで気にとめていなかったことを。なんとなしに。母は「次女生んでから、なんとなく4人産んで四季の名前にしようかなって思ったのよ。」って笑ってた。「4人姉妹だったら細雪みたいだね。」なんて私も笑って、ぼんやりと考えてた。生まれていたかもしれない子どもの存在を。抱えた時の温もりを。きっと私たち家族はその子をすごく愛しただろう。