まばたきの隙に

数行に、そのままに、

泡沫の幸と永久の過ち 《15・夢のよう》 

《十五・夢のよう》

sideA

 

君って黒とか紺色とかより爽やかな明るい色が似あうって思ってたけど白は似合わないんだね。初めて知ったよ。今日は最期になったのに初めてばっかりだわ。彼女も駆けつけたのよ?何故かね。あなたとは一夜だけだったとわざわざ言いに。泣いてた。女って怖いのよ。あなたがあの日、女の人と過ごしていたことを初めて知った。あなたが白が似合わないのを始めて知った。あなたのお父さんと妹さんを初めて見た。そして初めて救急車に乗った。君との初めてはいつも楽しいことばかりだった。そのつけが急にきたのかしら。これからどうしたらいいのか全然分からないの。急に君を、愛する君を失って。

指を見つめ、絡め、伏し目がちなその瞳を確かめるように合わせ、腕、肩、鎖骨から頬へとなぞるように撫で、最後に微笑んでくれる…そんな君の温かさを1番愛してたから。」